下甑村の歌い継がれる
■網撚り(つなより)唄 男ぶりでは世ぐらししゃできぬ、野でも山でもかせがねば。
(綱(つな)うち唄) しんでつるぎの山かせぐとも、しゃばの稼業は止められぬ。
たかんびらから様が歌うたう、師走木綿ばた止めてきく『囃子』。
青瀬大根、長浜キノコ、藺牟田ボケイモではらとめた
しんにゆら日が照るこうちは曇る、さきの藺牟田は雨が降る。
  奥山通れば鶯が梅の小枝に昼ねして、花の散るよな夢をみた。
  夢をみるうちや重いがうすい、深く思えば寝もならぬ。
  ねてもいるかよ起きてもいるか、今頃煙草ものみおるか。
  タバコにきれた身は須磨寺よ、青葉このむよ一の谷。
  一の谷では熊谷様よ、いとし敦盛ちごさくら。
  桜花には嵐がどくよ、若い嫁ごにゃ子がだくじゃ。
  子は毒虫じゃ毒虫じゃ、棒ぢゃ打たねどしをれゆく。
  塩じゃすぉれん柳じゃ美人じゃ、木になるみかんも秋きや赤む。
  秋は夜長しくる様おそし、あかしかねたる秋のよい。
  よいから晩々きよらいた様よ、どこのよごれが留めるやら。
  留めて留めたよ宇治島とめた、親の仇とゆてとめた。
  なごう川ならとめればとまる、わしの涙はとめきらぬ。
※大敷網(おおしきあみ)の綱(つな)うち唄、数人の綱うちの人達が、交互に掛け合って唄い、
『ハンヤレーソーライ』と掛け声で調子をとる。
★下甑村郷土史より・・・・
 今は、町になってしまいましたが、村(むら)の響きが残っていきますように。