・・・方言で話せたら、語れたら楽しいかも・・・チャレンジあれ!!・・・
【タイトル】 ・・・【蛙報恩】
 昔なあ。
山ん
道ば爺さんが通いよったとて、そひたいば、大きな蛇(ヘエブ)がどんくうどんば呑もうてしとったとて。
その爺さんな、まあ冗談のごと、
「こら、こら蛇(ヘエブ)、お前あ、可哀そうにどんくうも惜しかたが、どんくうば呑むなあて、
 おいが娘ん子どが三人おっでえ、太うなった時あ、あっけえ、嫁女に呉るっでえ」その爺さんが言うて通ったとて。
 そしたいば、その娘どもが年頃になったとこいが、約束しとったたっでえちゅうて、良か旦那さんになって、蛇が行たて。
その約束しとったことやっでえ、子供にゃ明かさんばって、親がなまに心配してな、そしたばって、
もう明かさねば仕様が無し、三人の娘ん子供(コド)めえ、
「何年かあてえ、太か蛇がどんくうば呑もうてしとって、どんくうが可哀そうやったもんでえ、
冗談に三人おる娘の一人ば嫁にくるる、ちゅうて、きとったでえ、どの子か一人親ば助けたと思うて、
おめえになってくれんか」ちゅうたいば、
「ならん、ならん」ちゅうて二人の姉どがことわったいば、三番目の娘が孝行者で、
「おいがおめえになる」ちゅうて嫁ぇ行たとて。
そいでもう親は納得したばって、晩に、親煩悩で、どげん風やらうかと思うて、襖ん陰から見とれば、
婿(ムコ)さんな、もとの蛇になって、娘のすやすや眠っとっとば、舌でペロペロねぶっとっとてなあ。
そいば見て、父(トト)どんが、もう病気になって、寝込(ネク)うどったとこいが、こんど又、良か旦那さんが来て、
「話聞けば、こかあ、病人のあい風(フウ)やが、いけんした病気やらうか」て、
「いけんした病気て、まあ、わからんがなあ、いけんしたら治いことやらうか、おじさん」ちゅうておったとこいが、
「よか、よか。おいが薬ば言うてかする」ちゅうて、
「ここのおじさんの病気な、三里奥(オック)に行けば太か大木に鷹が巣かけて卵ば生(モ)っとっでえ、
その卵ば持って来て食(カ)すれば、きれゆう病(ヤンメ)えな治る」て。
梯子かけても届かん木やっでえなあ、困っとったとこいが、娘の殿じょうが、「そらな、おいが取いけ行く」ちゅうこてえなって、
「おまや、そしこ高っか木ば、どげんして取いがないか」ちゅうたいば、おめえと二人で行こうちゅうこてえなって、
木の根ばいい、行たとこいが、ほんに鷹が巣かけて、夫婦(みゅうと)で卵ば番しとったとよなあ、
そしたとこいが殿じょうが、
「おいが木い登って卵ばとってくっでえ、おいが姿ば見て、逃げたことならあ、生命あなかどう」て
いうたそうやなあ。そしたいあば、「私は決してそげんする者じゃあなか」て嫁じょうが言うて、
蛇(ヘエブ)になってええて、木い登って行くとてなあ。さあ、もう嫁じょうは気ば失うばっかいいなって、
そいでも、どがんして取って来いもんやらうかと思って、見とったとこいが、巣の中ぇ蛇が頭ばさっくうだ時、
鷹が二匹で突(チ)いたとてな、蛇がばたぐるうて、あっちこっちすい中い目ん玉ば潰(ツビ)いてくれたとて、
蛇はばったと、木から落ちてきて、ちい死んだとよなあ。そらあ、どんくうどんが恩返しい来とるとこいやったと。
「あたしゃあ、じいさんに助けられた、どんくうやっ」て、
「いつか恩返しばせねばならんが、ならんがて思うておったとこれえ、おじさんが病むていうもんやっでえ、来もした」
て言うたちゅうもさあ。
もう、そい限いのむかあし。